技術的な質問
振動計に関する技術的・専門知識を要する質問を掲載しています。
- ローノイズケーブルが高価な理由
- 振動計で回転体のアンバランス修正ができる理由
- アンプ内蔵加速度検出器のメリットとデメリット
- 振動計測にチャージアンプが必要な理由
- 衝撃振動を計測するのに必要な振動計のスペックはどのようなものですか?
- アナログ積分器を使うメリット
Q:ローノイズケーブルが高価な理由
A:絶縁体外側にカーボン等を含浸させ、それが振動測定に影響をしないよう設計されているためです。
圧電型検出器は広いダイナミックレンジを持っています。
その性能を十分に発揮できるように、ケーブル中心導体の絶縁体外側にカーボンなどを含浸させノイズとなる静電気の発生を抑える特殊加工をしてあります。更にケーブル自体が振動測定に影響を及ぼすことがないように計算して設計されていることから一般的なケーブルより高価になっています。
Q:振動計で回転体のアンバランス修正ができる理由
A:振動波形のピークの位置とアンバランスの位置が一定の関係にあることを利用して修正します。
回転体にアンバランスがあると振動となって表れます。
その振動波形のピークの位置(位相)は回転体のアンバランスの位置(角度)と一定の関係があります。その関係を振動計と試し重りを用いることで求めることができるのです。その関係が分かればアンバランス位置と量が分かるので、それを削るか、反対側に同じ量の重りをつけることで、バランス修正が行えます。
【注記】バランス修正用振動計は、回転基準パルスを使うものとストロボを使うものがあります。
Q:アンプ内蔵加速度検出器のメリットとデメリット
A:一般的なケーブルが使用できますが、周波数範囲が内蔵アンプにより制限されます。
【メリット】 電圧出力なので高価なローノイズケーブルが不要です。一般的なケーブルが使用できます。
【デメリット】 アンプを内蔵しているため、使用温度上限が制限されます。
ダイナミックレンジが内蔵アンプにより制限されます。 周波数範囲が内蔵アンプにより制限されます。
Q:振動計測にチャージアンプが必要な理由
A:信号処理しやすい電圧に正しく変換する為に必要なものです。
圧電型検出器は加速度に比例した電荷を出力します。
その電荷を信号処理しやすい電圧に正しく変換する為に必要なものです。
Q:衝撃振動を計測するのに必要な振動計のスペックはどのようなものですか?
A:振動計には通常、作用時間の20倍以上の正弦波相当の帯域が必要です。
衝撃測定の場合は、最大値の測定が要求されます。
その上、衝撃波形は単発であるため、周波数成分は低い周波数領域にまで至ります。
従って振動計には通常、作用時間の20倍以上の正弦波相当の帯域が必要です。
Q:アナログ積分器を使うメリット
A:16ビットのものより3倍以上のダイナミックレンジがあります。
弊社の殆どの振動計には、アナログ積分器が内蔵されていています。
汎用的な携帯型振動計 MODEL-1332Bを例に説明します。 変位で最小測定値は1μmP-Pです。
10Hzにおける1μmP-Pは、加速度にすると約0.002m/s2です。
また、最大測定加速度値は200m/s2ですので、測定可能な範囲は200÷0.002=100,000倍になります。
これと同等な範囲を、デジタルで再現させる為には、32ビット以上のものが必要です。
因みに16ビットでも正負を考慮すると32,788倍しかありません。
従って、16ビットのものより3倍以上のダイナミックレンジがあることがわかります。
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